恋は、秘密主義につき。
下唇を舌でなぞられ、やんわり食まれる。繰り返し何度も。
ゾクリとした感覚に躰中が戦慄いて、熱く溶かされる。
奥底から押し上げてくる何かに耐えきれず、身を捩ろうとすればするほど、もっと深くなって。

やっと離された時には、半分正気を失っていました。

「・・・オレにだけ欲しがらせンな」

耳許に不機嫌に囁かれて、ゆるゆると焦点を合わせる。
見下ろす眼差しをすっと細め、シニカルに口角を上げた佐瀬さんの顔が間近にあった。

「欲しいなら、オマエもその口でちゃんと強請(ねだ)れ。・・・じゃねーと、やらねぇぞ」

思考回路がいったん停止。それからゆっくり回り始める。

「や・・・です。佐瀬さんを、ください・・・」

ぜんぶ、と浮かされたように。
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