恋は、秘密主義につき。
10-1
ふーちゃんが来てから、ママのテンションが朝から上がりっぱなしで、血圧が心配になります。
ご近所さんが、私と出勤していくふーちゃんを見かけて、モデルなのかと羨ましがっていたとか。

『鼻が高いわ~! 双葉君、こっちにずっといてもいいのよ~』

ニコニコが止まらないママです。



システムの仕事も今は一段落ついているらしく、ときどき残業が決まって不機嫌に6階に降りてくる日以外、ふーちゃんと同じ電車に揺られて帰ります。

駅の改札までは一実ちゃんと三人で歩く不思議な光景。二人とも物言いがストレートなので、聞いている私はハラハラしますけど、お互いに特に気にしていない様子。男の子同士だから、でしょうか。

一実ちゃんが言い出して、いつもの居酒屋さんで一緒に飲んだりもしましたし、二人で連絡先の交換もしていました。・・・・・・“アンチ鳴宮同盟”を結んだとかなんとか。海より深い溜息しか出てきません。

忙しそうにしている征士君を見かけるたび、心の中でエールを送り、ラインも続いています。
ここのところ厳しい表情をしていることが多い気がして、やっぱり心配になります。
『きちんと食べて眠ってください』と、そんな言葉しか送れなくても。うれしいよ、とだけ。決して弱音を吐いたりしない彼。

なにか力になってあげたくて。期待を持たせることもできなくて。
胸が苦しくなります。・・・・・・痛いです。

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