一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約

 愛海さんの家から雑貨屋さんに立ち寄り、取り急ぎ必要なものを買い込む。

 お布団はさすがに持ち帰れず、住所も確認していなかったので配送も頼めず、結局購入できなかった。

 添い寝を期待していると思われてしまうだろうか。とにかく今日は私が自室の床で寝よう。……あぁ寝袋を買えば良かった……。今夜、晴正さんにマンションの住所を確認してネットでポチっとお布団買おうと決意する。

 そんな決意を胸に、慣れない路地を歩いて、少し迷いながらも、なんとかマンションまで帰宅した。

 時刻は午後六時。部屋は人の気配がなく、晴正さんはまだ仕事のようだ。遅くなると言っていたが、今日のうちに帰宅出来るのだろうか。

 それでも食材は昨日買い込んだので、何か作って冷蔵庫に入れておくことにする。

 夕食は、トマト缶で作った煮込みハンバーグ、ポテトサラダ、具沢山のコンソメスープ。それから、作り置きメニューも調理。
南蛮漬け、鶏ハム、切り干し大根の煮物、ひじき煮、金平ごぼうなど数品をタッパーに詰め込んで冷蔵庫へ。購入したお肉も下味をつけて冷凍庫へ。

 今日帰宅されなかったら、これらをお弁当に詰めて事務所に持っていくことにしよう。

 家事全般は家政婦さんから教えてもらった。いつか実家からは独立しなければと思っていたし、少しでも役立つ娘でいることを何処かで意識していたのかもしれない。両親には結局、過保護すぎるほど大切にしてもらったが。


……私の生い立ちを、晴正さんはご存知なんだろうか。

 思えば、所長である父に偽装婚約を知られては困ることを、いち早く勘付いていた。もしかしたら父が信頼の置ける晴正さんには、話していたのかもしれない。


 料理の後はオタクグッズを早急に整理整頓して、お風呂に入った。そして自室の床にゴロンと転がってみる。ひんやりしていて気持ちいい。そして待ちに待った久々のイケメンゲームタイム!

 同期のイケメンから告白され、デートに誘われたりランチしたり壁ドンされたりする押せ押せ攻撃に遭っている。メガネ後輩キャラの攻略ルートだったはずなのに……これを拒否しまくれば後輩に振り向いてもらえるシナリオなんだろうか。
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