レンダー・ユアセルフ
恐る恐る顔をあげた彼女ははっと息をのむ。
そこには柔らかな金髪を持つ、誰の目から見ても眉目秀麗な男性が立っていた。
思わず今し方ぶつかってしまったことも忘れ彼に見入るアリアナ。研ぎ澄まされた碧眼に見つめられると、じわりと頬が熱を持ってしまう気がした。
──こんな男性《ひと》、初めて見たわ…。
彼が持つ中性的な雰囲気に包まれて、ついつい我を忘れてしまうところだった。
「あ、だ、大丈夫……貴方は?どこか痛くないかしら」
絞り出した声は情けなくも震えていた。
そんな彼女を穏やかな視線で見とめた貴公子は、くすりと色付いた唇で弧を描くと。
「僕は大丈夫だけれどね。彼がちょっと」
「え…?」
金髪碧眼の彼の視線に倣うように目線を投げ掛けると、そこには。