レンダー・ユアセルフ





──先の綿密な行動のおかげで、アリアナの父・チューリア国王のジーファに対する印象は鰻登りとなっていた。





事件の原因をつくったのがジーファ自身だとしても、それすら然して気にならなくなってしまうほどに。寧ろ娘への真摯なる思いを告げられたことで、父王の心は惑い揺れた。

ユースヒトリは疑うまでもなく強大な軍国である。ジーファ自らが「文書に記された脅しはどうか忘れてほしい」と口にしたことで、実質アリアナの縁談は再び白紙に戻された状態であった。いや、白紙と言うには語弊がある。





つい先日、アリアナのもとへと舞い込んだ縁談話を彼も忘れたわけではない。

しかしながら、隣国すべての力を合わせても届かぬほどの力を持っているのがユースヒトリという国だった。そんな強国の未来を確実に担う第一王子から、愛娘への情熱的な告白を聞いたばかりなのだ。




もちろん父とてアリアナの意思を無視し「この男と結婚しろ」と強制するつもりは無い。



しかしながら、王女として生まれたからにはいずれ嫁がなければならないことくらい、当のアリアナですら承知の事実であった。

そんな彼女自身の覚悟も父王は知っている。だからこそ、彼の中でジーファという存在がどんどんと大きくなっていくのを感じた。






その瞬間、勝利の女神はジーファのほうを向いたのだ。






< 39 / 162 >

この作品をシェア

pagetop