君の笑顔は、俺が絶対守るから。

嵐の夜





電車の窓を大きな雨粒が叩いている。

私は壁にもたれながら、ぐにゃりと歪む外の景色をぼんやりと眺めていた。


雨の日の電車の中は、じめじめと蒸し暑いし人も多くてうんざりするけど、いつもより薄暗い灰色の風景を眺めるのは好きだ。

天気予報で、今夜は大荒れだと言っていた。


京子さん、今日のうちに無事帰ってこられるだろうか。

ムリせず1泊してきていいって、家を出る前に一ノ瀬くんが伝えていたけど、どうかな。


私がいるせいでムリしそうで悲しい。


「佐倉」


いつものように、私を周囲から守るように腕を壁について立っていた一ノ瀬くん。

私が見上げると、至近距離で目が合った。

そのまましばらく無言が続く。


一ノ瀬くんが呼んだくせに、一向に話そうとしない。


「……どうしたの?」


仕方なく私の方からたずねれば、後悔するような顔をされ、心が傷つく。
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