君の笑顔は、俺が絶対守るから。

慌てて彼に近づく。

内緒話するみたいに小声で話さないと。

周りに聞かれるのはちょっと恥ずかしい。


「つーわけで……。佐倉さん、好きです。俺と付き合ってください」


ほ、本当に言った!

まさか初めての男子からの告白が、こんなに人のたくさんいる昼休みの廊下だなんて。


びっくりしたけど、恥ずかしいけど、嬉しいという気持ちは確かにある。

いままで小鳥に告白した男たちに、クズを見るような目を向けてきたけど、反省した。


告白って、言う方も言われる方も、きっとすごく勇気が必要で、真剣で、周りがどうこう言っていいものじゃないんだなあ。


「山田……ありがとう。山田の気持ち、嬉しかった」

「佐倉」

「でも、ごめんなさい。私、好きな人がいるの」


大切な人なの。

他の誰ともちがう、特別な人なの。


山田は一瞬傷ついた顔をしたけど、すぐに仕方なさそうに笑った。


「そっか……。まあ、フラれんのは覚悟してたから、大丈夫」
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