オレ様御曹司 と 極上KISS
~久遠翔side~

「だから、あんたを百合園救済のために婿にしたいってことなんだよ。たぶん。」

蒼大は古びた喫茶店の隅っこの席で俺に百合園のことをまくしたてていた。

なんか・・活き活きしてないか?

「百合園の財政状況については親父が探偵事務所に依頼した報告書にものってる。
おそらくほんとに株主総会で追い出されちまったら百合園の資金源はなくなってしまう。死活問題だからな。」

「俺がわかんねーのはさ。
なおのこと下民とか言って下げずむような一族が、なんであんたのことは受け入れんのかってことなんだよ。
久遠だって昭和になってからの成り上がりのセレブじゃん。」

蒼大はコーヒーを一口飲みながら言った。

「あーそれは・・・俺の母親だろ。」

「え?」

「俺の母親、旧華族出身だからな。百合園にとっちゃ血筋クリアしてんだろ?たぶん。」

けど・・・俺にとっちゃただ産んでもらっただけの人だけど・・・。

「ふうん。っそ。」

蒼大は複雑な表情になる。

そのへんはなかなか難しい。

俺らは2人とも母親を知らない。
結局俺たちは2人とも政略結婚による犠牲者だった。

「そんなら、納得できるな。」

蒼大はもう一回コーヒーを飲んだ。

「あとさ、きっとこれがキーになると思うんだけどな。」

蒼大がニンマリと笑う。
< 146 / 171 >

この作品をシェア

pagetop