【完】さつきあめ〜2nd〜

「見て!うさちゃんヘア!可愛くない?!」

「可愛い…。レイさんお姫様みたい!!」

お姫様みたい、と正直な感想を言ったら、レイは照れ臭そうにはにかんで、わたしの背中を何度も叩いた。

「さくらちゃん大人っぽいねぇ」

「ほんとですか?!ショートってヘアアレンジもそんなないし、なんかいつも似たような髪形になっちゃう」

わたしはレイと真逆なタイトなワンピースを着ていて、カメラマンさんはわたしたちを見て、どっちが年上かわかんねぇなぁーと笑った。

撮影を終えて、どちらも今日は同伴が入っていないという事で、出勤前にご飯を食べに行く事になった。
居酒屋でも相変わらず自分の好きな物を好きなだけ注文して、レイは気持ちよいくらい良く食べた。…そして同伴でもないのにお酒も飲んでいた。
ずっと食欲のない日が続いていたから、レイと食事する時間はわたしの密かな楽しみでもあった。目の前で美味しい美味しいと食べ物を頬張る彼女を見ていると、不思議と食欲もわいてくるのだ。

それでもレイは「小食だ」と笑った。

「なんか最近マジで年を感じる…」

「え?!」

「前までならいくら飲んでも二日酔いなんかほぼした事なかったのに…。最近夕方まで寝ちゃう時もあるし!
アフターでお客さんとラーメンとか行った日なんか次の日胃もたれしちゃってるんだよ!!」

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