【完】さつきあめ〜2nd〜

それから1か月。
わたしと朝日は毎日のように一緒に過ごして、休みの日には色々な場所に出かけた。
同じ日々を過ごし、同じ時間を共有するたびに、この人の事をどんどん好きになっていった。
終わらない時間。けれども、それを壊す出来事が一歩一歩近づいていたなんて、気づきもしなかったんだ。
年明けに出す皐月の話は順調に進んでいた。
皐月の看板は予想通りゆりだった。仕事だから、と朝日は言ったけれど、それでも嫌な物は嫌だったんだ。
各店舗の力のある女の子たちが移籍する話も進められていた。
本当はわたしも、皐月に行きたかった。由真ママに恩があるし、双葉は働きやすい。けれども、一度でいいからゆりと同じ環境の中で、ゆりと売り上げを競ってみたかった。
けれどもそれを朝日は許さなかった。

10月になって、双葉に周年があったり、何かとイベントが続いていた。
周年ともあって、来客数も増えて、売り上げも上がっていた。その裏で朝日は新店に向けて忙しそうに過ごしていた。けれどもわたしと食事を取ることや一緒に眠る事は欠かさなかった。

「さくらちゃん、周年なんでしょ?シャンパン開けて」

「あらあら久保さんありがとうございます」

「久保さん、ありがとうございます!!」

双葉で知り合ったお客さんは、噂通り質の良い人ばかりだった。
大手の会社の社長さんもいたし、若手の青年実業家もいた。メディア関係の人もいたし、華やかな職業の人たちも沢山いた。
芸能人も何人か見たりした。
ONEでは珍しくない光景らしいけど、わたしにとって双葉で働くことはとてもいい刺激になっていた。

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