【完】さつきあめ〜2nd〜
「俺ってやっぱり…あの人に勝てないんだよな…」

「そんな事ないよ!勝ち負けじゃないよ!
光は光で…あの人はあの人だもん!」

「もー夕陽は相変わらず優しいな。
そんなんだったら俺諦められないじゃん!」

冗談めかして言っていたけれど、光が笑えば笑うほど、わたしの目には切なく映るんだよ。

「もしもさ、辛い事があったなら、いつでも俺の所においで。
ずっと連絡先も変えずにいるから、夕陽に何かあったらすぐにかけつけてあげるから」

「光はいつもあたしの事置いていったじゃん……」

「だからさ、もう後悔のないように
次に夕陽に何かあったら、俺が1番にかけつけてあげるから。
って!何もない方がいいんだけどね!夕陽の幸せそうな姿が、俺にとっての幸せだから!」

「光……そんな風に人の幸せばかり考えていたらいつまで経っても光が幸せになれないよ…」

「いいんだよ。夕陽の幸せが俺の幸せなんだから」

わたしの為に、わたしの幸せが自分の幸せだと言ってくれるこの人を前に
もうわたしはしてあげられる事が何もない。
人を強い眼差しで見つめるところが大好きだったのに、そんな大好きだった人の目が今は見れない。

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