壊れそうなほど。
今まさにお昼どきの食堂は、ランチを楽しむ学生達で溢れ返っていた。

規則正しく並べられた長テーブルは、どの席も隙間なく埋まっている。

わいわいと賑やかな話し声や笑い声に混じって、スプーンが銀の皿を撫でる高い金属音が響く。食堂の一番人気は400円のカツカレーなのだ。

学生はここを食堂と呼んでいるが、正式名称は第一食堂。ちなみに第二はない。

広場を挟んで向かいがカフェで、カフェのくせに和定食中心。その上がカフェ上と呼ばれ、ラーメンやうどん、パスタなど麺類の食事処だ。

ネーミングがおかしいと常々思う。

「沙奈さーん! 佑介さーん!」

テーブルとテーブルの間の狭い通路を歩いていたら、可愛らしい声がわたし達を呼んだ。
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