私たちの六年目
意外な言葉に、思わず目がパチパチとした。


「え、どういう意味?」


「どういう意味って、そのまんまの意味ですよ。

じゃあ、もっとわかりやすく言いましょうか?

恋愛対象です。恋人になりたいです。

これならどうですか?」


「あはは! ご冗談を。もしかしてドッキリ?」


江坂に仕掛けてこいって、先輩達に罰ゲームをやらされているとか。


「ドッキリなわけないじゃないですか!

これでも内心ドキドキしてるんですから。

疑うなんて、失礼ですよ」


「だって私、男の人にそんなこと言われたことがないんだもの」


「またまたー。そんなわけないでしょう?」


「本当だってば。私、昔から全然モテないのよ」


「うそだ。彼氏くらいいたんでしょう?」


「いないわよ」


「えっ、じゃあ今まで誰とも付き合ったことがないんですか?」


「そうよ。悪い?」


23年間彼氏なし。


これを言うと、大概引かれるんだけど。


「だからさ、崎田君に気になるとか言われても、からかわれてるとしか思えなーい」


「ちょっ、ひどいな。結構マジでタイプなのに……」


シュンとする崎田君。


うーむ。


これは案外、本気だったりするのかな。
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