私たちの六年目
「もう、終わりにしませんか?」


「え……?」


「五年でしょう? いい加減やめましょうよ」


「崎田君……」


「思い切って告白して、キッパリと振られてしまうのはどうですか?」


思わず、「はぁ?」と声を荒げた。


「無理無理! 告白なんて、今更……」


秀哉を困らせたくないし。


気まずくなって、友達でいられなくなるのも嫌だ。


「出来ないんだったら、もう距離を置くべきです」


「距離……?」


私の言葉に、崎田君がゆっくりと頷いた。


「だって、そうしないと菜穂さん。

女としての幸せを味わえないまま、どんどん老けていってしまいますよ」


「ちょっ、失礼ねぇ!」


あぁ……でも、それは紛れもない事実か。


「秀哉さんがなかなか恋人を作らないから、踏ん切りがつかないんでしょう?

でも、そんなの待ってたって、どうしようもないじゃないですか」


それは、秀哉にも同じことを言ってやりたい。


梨華が振り向くのを待っていたって、無駄だよって。


でも、それは私こそがそうなのかもしれない。


「毎週会っているから忘れられないんですよ。

会わなくなれば、少しは冷静になれます。

僕が協力しますから。

新しい一歩を踏み出してみませんか……?」
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