一昔前の、中学生活

第九節 思惑

本当に、あまりに純粋すぎて見ていられぬぞ、瑠千亜。


お前は小春を振り向かすと言っているが........


彼女と俺の関係を、途絶えさせない限りそれは無理に近い。

優以外、この関係について知っている者はおらぬ。



俺とて、お前を欺いたりほくそ笑むために彼女との関係を続けている訳ではない。



ただ、求められるから。


それだけである。



お互いに、そのような気持ち以外は抱かぬつもりでいた。


少なくとも、俺はいつもそうしてきた。


本気にはならぬ事。

それだけの関係以上に発展しそうな場合は、申し訳ないがこちらから徐々に距離を取ってきた。



今回も、そのようにすべきだろうか。


今回は友である瑠千亜も大きく絡んでいるからな。


友を思うのならば、俺はさっさと彼女との関係を辞めるべきであろう。


彼女を傷つけることにはなれど、それを慰めるのを瑠千亜に任せておけばよいのだろう。



しかし...........



俺は卑怯な人間であるから、もし俺がそんなことをしたら、その悪評はもちろん小春と最も仲の良い梨々さんにも伝わってしまうだろうと考えてしまう。


そうすれば、彼女は俺を最低な男という評価を下すだろう。
友達を傷つけた、悪い男である、と。



そして、いずれ優の気持ちを知ったとしても、きっとそんな悪評高き俺ではなく、一途に彼女を想う隼へと靡くだろう。


それだけは避けねばならぬ。


この恋は、最初で最後かもしれぬ。

誰にも負けられぬのだ。



だから、優よ。



大会一週間前に言い争った時に互いの気持ちを確認し合ったではないか。


お前が梨々さんに自分の気持を伝えれば、梨々さんと隼を傷つけてしまう。

傷ついた梨々さんが隼へ靡く前に、優は隼と幸せになるべく努める。


そして俺は梨々さんを慰める。

そこで傷つく小春を瑠千亜が慰める。



これでほとんどの人間が幸せになろう。


もちろん、報われぬ人間もいるが、恋愛は競争と同じだ。


先手を打たねば負けてしまう。


俺はそれに関しては、妥協をするつもりはない。


だから俺が小春を振って、梨々さんに悪評価を振り下ろされる前に、どうか優が行動して、梨々さんへ優の気持ちを知らせてくれればよいのだ。



それなのにあいつは一向に動こうとせぬ。

全く行動力に欠ける男だ。


ここは多少ズルくとも、先に動かねば思う通りにならぬ。
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