恋の宝石ずっと輝かせて2
第四章 見え隠れの心

 蕎麦が打ちあがるまでの間、瞳は仁を退屈させないように自分の部屋に案内した。

 仁は瞳の家であたふたとして居心地悪く、なすがままについていく。

 急激なストレスを感じ、心なしか体の調子が悪くなっていくようだった。

 無意識に頭を抱えて額を押さえていたが、ついでにこめかみもズキズキしてくる。

「先輩、ここが私の部屋です」

 瞳は恥らいながらも、見せたいというワクワクした気持ちで大胆になっている。

 頬が突っ張るほどの笑顔がはちきれんばかりだった。

 仁は愛想笑いをしながら、恐る恐る中を覗いた。

 瞳の部屋はシンプルな六畳一間の和室だった。

 部屋が広々として見えたのは、ベッドが置かれてなかったからだった。

 毎日布団を押入れから出し入れしているらしい。

 優等生らしい整理整頓されたきれいな部屋だ。

 そこに女の子らしく所々に縫いぐるみや可愛い小物が置かれていた。

 一通り見回した後、仁は気になるものを見つけた。

 部屋の隅に置かれた石がゴロゴロと入っている段ボール箱。

 それはそこに場違いで、違和感があった。

 あの石で何をするのだろうと仁は思ったが、部屋の棚に飾られた色とりどりの丸いものを見て気がついた。

 それは彩色された石だった。

 石の形を上手く利用して色が塗られ、それらはかわいい犬や猫、鳥といった小動物の姿が表現されていた。

「これ、瞳ちゃんが描いたの?」

 瞳は恥ずかしいながらも、気に留めてもらったことが嬉しくて、目を輝かせて頷く。

「すごい! 上手いね。石の形からこんな動物たちができあがるなんて。よく考えつくね」

「山や川に行くと変わった石をつい集めてしまうんです。それを眺めてたら動物に見えてきて、絵を描きたくなっちゃうんです」

「それであの箱の中には沢山石が入ってるんだね」

 瞳は話が弾んで嬉しいのか、箱の中から最近見つけた石を取り上げて、それを仁に見せた。

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