ロスト・ラブ

「……ごめん、茜」

「え？」


第一声は、考えるより先に出た。


ずっと言わなきゃと思っていたこと。……ずっと、言えなかったこと。


「……あの日、お前に酷いことを言った。ただ俺がガキだったんだ」


周りの奴らにからかわれるのが嫌で、酷いことを言って茜を遠ざけた。


後悔したってもう遅い。

あんなガキの感情で振り回したせいで、茜の人生は、変わってしまったんだから。


「どんなに償ったってどうにかなる問題じゃない。だからせめて、茜が、もう二度とあんな思いをしないようにって……」

「……それで、ずっと守ってくれてたの？」

「っ、そんな綺麗なことじゃねぇよ」


守った、なんて、そんな綺麗な言葉で言っていいものじゃない。


ズルいことだってした。汚いことだって、茜を傷つけるようなことだってした。