ロスト・ラブ


登校も下校も、今では当たり前のように颯太と一緒。

帰りのHRが終わって、いつものように自分の荷物を持って私の席までやってきた颯太は、隣にいた胡桃の姿に目を止めたのだった。


「んーん、胡桃は別方向だし。ただ、柳くんにお願いがあって」

「お願い?」


ニコリと颯太に笑いかける胡桃に、なんだかそわそわしてしまう。


───さっきの昼休みで、胡桃に相談したこと。


「柳くん、茜ちゃんの男の人への克服に協力してほしいの」

「……は?」


颯太にどう切り出すのか不安だった私をよそに、胡桃は自然な感じで颯太にそう伝えた。



『そんなの決まってるよ。柳くんと自然に触れあえるようになること。たぶんそれが柳くんが一番嬉しいことだと思うよ』


胡桃はああ言っていたけど、本当にそれでいいのかは実際のところわからないし、正直自自信もない。

現に、また颯太に協力してもらうことになるわけだし。


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