恋かもしれない
美也子さんが経営する雑貨店『Lapin noir(黒うさぎ)』が扱うのは、北欧のインテリア小物や雑貨類。
仕入れるものはビンテージ品が中心で、ファブリックや食器やランプなどオーナーこだわりの品を豊富に取りそろえていると、ネットでも評判のいいお店だ。
実店舗もあるけれど来店は少なくて、お店の売り上げは殆どウエブショップが占めている。
だから、美也子さんは店は無くしてもいいと、よく言う。
けど、ブログを見て雰囲気が気に入ったからインテリアのアドバイスを受けたいとか、実物を見て購入を決めたいとか、遠方からわざわざ来られるお客様もいるため、無くせないでいるそうだ。
私の仕事は、主にウエブショップの管理。
オーダーメールをプリントアウトして、管理台帳に顧客情報を入力していく。
「あ、松崎――」
名字を目にするだけで、例の名刺とドアをがっしり押さえた大きな手が思い出されて、鼓動が速まる。
『忘れ物です』だなんて。
あの焦ったような声。
本当に、どういうつもりなんだろうか。
書かれていた十一桁の数字を何度も読みすぎて、暗唱出来てしまう自分が怖い。
けれど、電話する勇気がない。
「あーもう、駄目駄目! 仕事に集中しなくちゃ!」
大事な顧客情報、ミスったら大変だ。
仕入れるものはビンテージ品が中心で、ファブリックや食器やランプなどオーナーこだわりの品を豊富に取りそろえていると、ネットでも評判のいいお店だ。
実店舗もあるけれど来店は少なくて、お店の売り上げは殆どウエブショップが占めている。
だから、美也子さんは店は無くしてもいいと、よく言う。
けど、ブログを見て雰囲気が気に入ったからインテリアのアドバイスを受けたいとか、実物を見て購入を決めたいとか、遠方からわざわざ来られるお客様もいるため、無くせないでいるそうだ。
私の仕事は、主にウエブショップの管理。
オーダーメールをプリントアウトして、管理台帳に顧客情報を入力していく。
「あ、松崎――」
名字を目にするだけで、例の名刺とドアをがっしり押さえた大きな手が思い出されて、鼓動が速まる。
『忘れ物です』だなんて。
あの焦ったような声。
本当に、どういうつもりなんだろうか。
書かれていた十一桁の数字を何度も読みすぎて、暗唱出来てしまう自分が怖い。
けれど、電話する勇気がない。
「あーもう、駄目駄目! 仕事に集中しなくちゃ!」
大事な顧客情報、ミスったら大変だ。