恋かもしれない
「そうです。綾瀬さん。強さの定義は、怖がらない、泣かない、じゃないんです。本当の強さっていうのは、何があっても前を向いて一生懸命生きていくことだと思います。あなたは十分過ぎるほどに強い人です」

松崎さんは真っ直ぐに私を見つめてくる。本気で言ってくれているのだ。

「それに、綾瀬さんはとても素敵な人だわ。そこらの男なんて相手が務まらないくらいに。ちゃんとあなたを見て、理解して、愛してくれる人がいるわ。ね、英太?」

「あ、そりゃ勿論です! しっかりいますよ! 理解しますし、ずっと愛しますから!」

「先生……松崎さん……ありがとうございます」

笑顔を見せてくれる二人に私も笑顔を向ける。

私は、強い。

そんなこと言われたの、初めて。

今までの頑張りを認めてもらえたみたいで、嬉しくなった。
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