恋かもしれない
『綾瀬さん! 電話いただいて良かったです~! 実はとってもいいお知らせがあるんです!本当は面談でお話するのがいいんですけど、いち早く!と思いまして、電話で失礼します。今日のお見合いのことですが、お相手の岩田さんが綾瀬さんともっとお会いしたいと仰ってるんです!!』

「ええ!? うそ!」

『うそじゃありません~。岩田さんは綾瀬さんのことを〝とても可愛らしいお方〟だと仰ってらして、と~っても乗り気なんです!! それで綾瀬さんがどう感じたかとか、今後のことを含めていろいろお話したいのですが、急ですみませんけど明日なんてどうかしら? 綾瀬さんお時間ありますか?』

「は、はい。あります!」

半分呆然としながら面談時間を決めて通話を終えた。

これ、夢じゃないよね?

頬を抓れば痛みを感じる。あんな失敗をしたのに、またお話したいと思ってくれているなんて、本当に信じられない。

けれど、なんだか胸の辺りがスッキリしないのは何故なんだろうか。

もっと心が弾んでも良いはずなのに。

お相手に気に入ってもらえたなんて、とても奇跡的なことで本当に嬉しい。

けれどモヤモヤするのだ。

明日はこの気持ちを佐藤さんに話そうと決め、早めに眠りにつくことにした。
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