影を拾った太陽

「え……」



頭が真っ白になった。


学校を、辞める?
もしかして、授業サボったから?内申足りなくて進級できないから辞める、とか?
でも、それは桐ヶ谷くんに限らずこの学校の不良全員に言えることだ。



じゃあ、どうして?



「一緒に病院に行ったのなら分かると思うけど、叶斗は大病院の御曹司なんだ」



桐ヶ谷くんのケガのために無理矢理病院に行った時、そこが偶然桐ヶ谷くんのお父さんの病院で。
あの時は何でみんな桐ヶ谷くんに挨拶するんだろうって不思議だったけど、院長の息子だって言われて納得したっけ。



「そのせいで昔から父親に厳しく言われることが多くてさ。勉強だけじゃなくて、人間関係も。俺も何度叶斗と縁を切れと言われたことか」



成瀬くんは明るく言っているけど、きっと相当辛かったんだろうな。
もし、愛依の親にそんなこと言われたら私も凄く辛いと思う。



「だから叶斗は反発して中学でぐれてさ。この高校に入ったのも反発心からなんだ」



え、この学校の偏差値七十くらいはあるよ?
それなのに、反発心って……。



「叶斗の学力なら、もっと上の学校行けたはずなのに親の敷かれたレールを歩きたくなくて、この学校を受験したんだ」



じゃあ、受ける高校も決められていたの?
そんなの、辛すぎるよ。何もかも親に決められている人生なんて。




でも、それなら桐ヶ谷くんのお父さんは許さなかったんじゃないの?



「お父さんは許してくれたの?」



「うん。ただし、条件付きで」






「じょう、けん?」

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