ユルトと精霊の湖

そしてまた、日が昇り、沈み……数十年が経つと、数人しか住んでいなかった人間達は少しずつ数を増やし、湖精が、おや?と思った頃には数倍に増えていた。

子を成し、育てるのが生き物ではあるけれど、人間とは、こうも早く増えるものなのか。

湖精は興味深く思い、木々を通じて彼らの生活を見守るようになった。

小さな若木達を引き抜き、地面を掘り起こし、大きくなってきた木を切り倒す人間達。

それはまだ、精霊が宿るには至らない若い木であったし、肉食の動物が他の動物を食べるのと同じく、彼らもまた、木を切らねば生きていけないのだろう。

そう思い、湖精は静かに、人間達の村を見守り続けた。

異変があったのは、それからしばらく時が経ってからのこと。

湖に注ぐ川沿いから、木々に呼ばれた、湖精は珍しく湖を離れた。

とは言っても、行き先は目と鼻の先。

湖にそそぐ川を少し上ってみると、そこには、とても小さな人の子が、ぴくりとも動かずに浮かんでいた。


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