私のハッピーエンド
ミステリーを買ったはいいものの、ちょっと気まずい。

蓮も感動系の小説買ってるんだよ?

どっちも「つまんないでしょ」とか、「あんま興味ない」とか言ってんのにだよ?可笑しくない?

「なんでそれ、買ったの?」

本屋向かいの店で蓮に飲み物と期間限定スイーツを頼んでもらってた。


「アイスは?」

「出来上がったら持ってくるって。」

「流石スマイル」

「意味が分かんない。」


「だから、話戻すけど、なんでそれ買ったの?」

少しだけ黙った後蓮が口を開いた

「お前もだろ。」

うわ、話私に振ってきた。



でも、なんで買ったんだろうか‥‥

自分では少しだと思っていたけど、結構な時間黙っていたようで、そんな状況に蓮が耐えかねたらしく

「俺は‥菜野があんなにボロクソ言うのを読んでみたかったから、かな。結末はもう言われちゃったけど。」

「それは、蓮が読むわけないよなーって思って、口走っちゃったの!」

「あーそう、はいはい」

適当な返事を返された。うざい野郎。

「で、俺は言った。菜野が「つまんないでしょ~~」とか言った俺が大好きなミステリーを買った訳は?菜野が買ったの、多分、バッドエンドだけど」

嫌味ったらしくいう蓮の顔ったらもうすごかった。私の事をナメまくった顔って感じ?うまく言えないけど。本当にムカついた。ぶん殴ってやろうかってくらいね。

「私は‥分かんないよ。蓮が買ったから私も買ったの。」

「それ本当?そんな理由?」

分かんないんだから仕方ないでしょ、しつこいのよ、こいつは。

双方とも黙って気まずい雰囲気が流れた。


「失礼いたしまーす!えっとぉ、こちらはぁ」

「それ俺です。そっちが‥」

「あ、えっと私です。ありがとうございます」



「はーい、失礼いたしまーす!」

店員さんのテンションと場の空気の温度の差に思わず笑ってしまった。
蓮も面白かったようで顔を伏せて笑っていた。

「美味しいね」

蓮が頷く。

蓮がこども狼に見えてしまう。

別にそういうんじゃない。ぼ、母性本能??ってやつ。

「少し頂戴。」

「え~~これ~?んー、どうしよ、あー!!」

油断したぁ。くっそぉ

「ご馳走でしたぁ お金が無い、、蓮、、」

「無理。俺も無い」

「嘘だ」

蓮が舌打ちをして今日だけと言った。



帰ろうとした時店員さんが

「可愛いカップルだ」

って言ってたのを蓮は気づいていないみたいだったから赤くなる頬を冷やすので精一杯だった。
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