※怪異にご注意※

「あ、そー言えば。あたしバイト、クビになった」

あたしはいつ言おうか迷っていたことを恰も、今思い出したかのように言った。

「え、そうなの?!もう次のバイト決まってんのか??」

ヒモ君は心配そうにあたしを見た。

「んー。まだ」

あたしはぼーっと紙を見つめながら呟いた。

「そっかぁ。…じゃーその紙に書いてある所行ってみれば??」

ヒモ君はニカッと笑ってみせた。

あたしは眉間に皺を寄せた。

「なんでここに行ってみるの?」

「書いてある事は良くわかんねぇーけど、俺の感がそこへ行けば何かがわかるって言ってる!!」

感だけどなぁ。と言い、ヒモ君はまたポテチを食べ始めた。

その感も案外役に立つかも。

あたしはそう思い紙を鞄にしまった。

「あたしちょっとここに行ってくるよ」

「おう!頑張れよ!」

ヒモ君はそう言って笑った。

この笑顔には勝てないな。

あたしは歩きやすい靴を履き、家を出た。

紙に書いてある住所によると、あたしの家から20分くらいの所にある。

ナビを使って歩く。

が、山道になるに連れてどんどん急斜面が続く。

こんな所に本当に事務所なんてあるの?

あたしは重たい足を無理やり動かし、坂道を登っていく。

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