消えてしまう君に捧げる

「あれ?安藤 小春なんていたっけ?」


「あー、この子あれだよ、去年透明病になった子」


「えー!そうなんだ。かわいそ〜。あれ絶対死んじゃうんでしょ?今まで発病してから3年生きた人はいないってテレビでやってた」


可哀想、か。


そりゃそうだよな、他人の命がどうなろうが、自分にとってはそんなに関係ないことだし。


"透明病"
それは、未だ解明されてない病気。
治る確率は0%。治す方法も、効く薬もなく、ただ死を待つばかりの病気。


発症する確率は、1500万人に1人と言われている。


去年の4月、そう、あれは入学式の翌日。
僕の高校から、ひとりの女子が透明病を宣告された。


名前は安藤小春さん。
会ったことも話したことも無いけど、周りが噂をしていたから、彼女のことは嫌でも耳に入った。


「ねぇねぇ飯島くん、これ安藤さんに届けてもらっていいかな?」


「……はい?」


はっ、と我に返り声がする方に目を向けると、そこには不機嫌そうな顔をしたクラスメイト…名前は確か、恩田 ひよりさんが立っていた。


僕の前に差し出されているものは…プリントがたんまり入れられた紙袋だった。



「だから、これ、安藤さんに届けてくれない?」


「なんで…僕が…」


「学級委員長でしょ。じゃ、よろしく」


そう言って、無理やり僕の体に紙袋を押し付け、自分の陣地ーー友達の元へと帰って行った。


まじ、か……



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