学校一クールなキミのお世話係になりました
あたりを見まわすとうちの学校の制服を着た後輩らしき女子達3人がキャッキャッ言いながら、駅の外からこちらを伺っている。


朝から、何の騒ぎだろう。


「ファンの子達がお待ちかねみたいだよ、早く行ってあげたら」


嫌味っぽく言うと、フゥッとため息を吐く彼。


「今日は特別、多そうなんだよ、ああいうの」


「どうして?」


答えるより先に、彼が私の手を握りスタスタ歩きだしたので、びっくりした。


「え?なんで?どうしちゃったの?」


「右手貸して、今日一日。右手だけでいいから」


わけのわからないことを言いながら、早足に歩く彼の端正な横顔を睨んだ。


「もう、やめてよ。ほんとこういうの、困る」


バクンバクン心臓が揺れ出すのが、ほんとに嫌。


私ったらすぐに意識しちゃうんだから。

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