つかまえた!
コクリ。

水と一緒に飲むふりをした僕に……………

「ダメ~!!吐いて!
……………………航、お願い!!!」と大きな声で叫んで

僕の胸ぐらをつかんで揺するみぃ。

ギョッとして、注目する先生達と

冷静に抱き止める僕。

「どうして吐き出さないといけないの?
みぃ、これは『痛み止め』でしょ?」

僕が『みぃ』と呼んで問い詰めてることに

益々驚く周りと…………

急に冷静に見守る彩先生。

洋介さんは、彩先生にも話してなかったんだ………。

興奮状態のこの中で

落ち着いて分析している自分に驚いた。

「出して!」

「吐いて!!」と

泣きじゃくりながら叫ぶみぃの背中を、トントンと叩いて落ち着かせ

「飲んでないよ。」と

飲むふりをした薬を取り出した。

ワァっと泣き崩れるみぃ。

訳が分からないと……驚いていた周りも

僕と彼女の関係を察知してくれたみたいで………

「はい、海晴のカバンと上着。
航、よろしくね。」と言って渡してくれる彩先生と梓先生。

「お疲れさん。」と手を振る夏苗先生に、ニッコリ笑って送られた。

ただ一人、キョトンとしたままの唯ちゃんは………

まだ僕とみぃの関係が分からないみたいで

隣に座る咲に耳打ちされて

大きな目を、益々見開いてた。
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