お菓子のヒミツ
プロローグ
 皆さんは甘いお菓子は好きですか?私は大好きです。特にクッキーとかもう幸せを感じてしまいます。そんな私、幸村蛍(さちむらけい)は高校に入学しました。部活はもちろん料理研究部に入りました。しかし、お菓子好きな私ですが実は作ることができません。最初は部活仲間や部長からは
「大丈夫。みんな通ってきた道だ。」
と、慰めてくれていましたが今となっては助けてくれる者なし。そして今日も…
「さーちーむーらーぁ…また今日も見事にやらかしたな!」
「ひぃ~!ご、ごめんなさい~っ」
失敗。可愛く焼きあがる筈のクッキーが真っ黒…。部長の広松紳(ひろまつしん)が頭から角を出して鬼に変身。男のくせになぜ料理研究部に。しかも完璧に美味しいお菓子が作れるなんてちょっと憎い。
「…てめぇ、今男のくせに料理研究部に居るんじゃねぇって思ったな!」
な、なぜ見破られたの!?私声に出していってないのに。
「ったく、わかりやすいんだよお前は。俺を誰だと思っているんだ。」
「誰って…部長でしょ。やだなぁ私だってそのくらいわかりますって。」
「…今憎たらしいことを言ったのはこの口か!」
広松先輩は私のほっぺたの両方をつまみ引っ張ってきた。痛い痛い、と泣いている私を周りは腹を抱えて笑っている。
「いつも仲がいいですよね二人。見てて飽きないですよ。」
「仲良くない!」
「にゃかにょくにゃいっ!」
見事に私と広松先輩はハモった。ただ私はまだほっぺたをつままれていたからなんて言っているのかわからないけど。機嫌を損ねた広松先輩は私を放って他の所を見回りに行った。
「痛かったぁ…なんで先輩は私ばっかりに怒るのかなぁ。まだ入りたての時の先輩の顔は天使の顔だったのに今となっては…。」
もう可愛いげのない黒く焼けたクッキーを処分しながら友達の皆川五月(みながわさつき)にグチる。
「そりゃあんたがそこまで下手なんて思ってなかったからじゃない?それにあんたが失敗ばかりするから部費がピンチになっているって噂で聞いたけど。」
五月の言うことにグサッグサッと身に刺した。特に部費のことは私もまずいと薄々感じてはいたけど。
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