夢はダイヤモンドを駆け巡る
 学校でもめっきり姿を見かけなくなった。

 教員にそれとなく問うてみると、ちょうど我々が松本くんの夢に取り込まれた翌日から二週間ほどまるまる欠席し、さすがに様子を見かねた担任教師の説得によりその後は週に二、三度は登校するようになったという。

 しかし登校した際にはほとんど教室から出ず、休み時間も魂が抜けたかのようにぼんやりと窓の外を見やるばかりらしい。

 道理で校内で小神の姿を見かけなくなったわけだ。

 わたしは用事があるふりをして、定期的に小神のクラスの前を行ったり来たりしたけれど、黒板の隅の欠席者欄に小神忠作の名が書かれているのを確認するばかりだった。

 二度ほど小神を見かける機会はあったのだけれど、椅子に腰かけた小神は教師の言った通り腑抜けた様子で、わたしが三年生のフロアに来ていることにすら気づかぬ様子だった。
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