夢はダイヤモンドを駆け巡る

第4話

 それからやっとわたしの存在に気がついたのか、はっと目を丸くし、決まり悪そうな照れ笑いをして見せた。

 松本くんと目が合うと、まるで金縛りでも解けたかのように自然とわたしの身体は軽くなり、松本くんのいる公園内へとわたしは足を踏み入れる。

「職務質問させていただいてもよろしいでしょうか。こんな夜遅くに何をやっていらっしゃるんですか?」

 職務質問なんて受けたこともないが、警察ぶって尋ねてみると、松本くんは途端に表情を崩した。

「何も怪しいことはしていませんよ。安定したスイングを追究していただけです」

 その答えを聞いて、わたしもついつい頬が緩む。

「本当に松本くんは努力家だね」

 うんうん、と頷きつつわたしは感心する。人が見ていようがいなかろうが、松本くんには関係のない話なのだ。
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