私の彼氏は真面目過ぎる!【完】
……私の妄想・浩太郎育成計画が頭の中で際限なく広がり続けようとしていたが。

「ひばりさん、聞いています?」
「え!?」
 浩太郎に顔を覗き込まれ、現実に引き戻される。

「ごめん、何か言った?」
 妄想していましたなんて、まさか恥ずかしくて言えない。

「お店まだ決めていないんだけど、この近く詳しい?って」
「ああ、お店ね……」

 珍しく今日は無計画なんだ、と思ってから、ああこれは前回の反省もあるのかもしれない、と思い直す。
 前のデートでは浩太郎の完璧主義すぎる計画に振り回されたあげく、私のワンピースが汚れてしまった……ようなものだったから。

「じゃあ、私のおススメのダイニングバーがあるんだけど……お酒飲まない人でも十分料理を楽しめそうなお店だよ。どうかな」
「いいよ。じゃあ、そこにしよう」

 そのダイニングバーは花岡さんに教えられたお店だった。若手シェフが作る創作料理が評判で、何度か雑誌やテレビの取材がやってきたこともあるらしい。
 ここならば大丈夫、という自信を持って、私は浩太郎をそのダイニングバーに連れて行った。

 その先何が起こるのか、予期さえせずに――。
< 132 / 258 >

この作品をシェア

pagetop