私の彼氏は真面目過ぎる!【完】
 まだ男性の来ていない5番ブースの座席に腰掛け、件のカードをじっくりと点検する。

「なんか、懐かしい……」

 このカードを見ていると、女子としては思い出す。
 小学校のころにクラスで大流行した、プロフィール帳。

 キャラクターが書かれたA5ほどの大きさの厚紙に、血液型や誕生日、趣味や好きな人のイニシャルを書く、あの個人情報たっぷりのファイル。
 まさか好きな人のイニシャルは書けなかったけれど、プリクラやシールを思う存分貼って楽しんだ記憶がある。

 そのプロフィールシートによく似ているけれど、大きく異なるところもある。
 顕著な例としては、「お仕事」「(おおまかな)年収」の欄。
 後者は書くのに勇気がいるけれど、お互いに知りたい情報であるのは間違いない。

 お仕事欄には正直に「商社事務職」と記し、年収欄はかなりぼかして書いてみる。

 他には「いつごろ結婚したい?」という欄があった。
 選択肢型で、「今すぐ結婚したい」から「いい人がいればいつか」まで、5段階で選択できる。

 少し考えた結果、「いい人がいれば」を選んだ。これでいいのかはわからないけれど、「今すぐ」を選ぶのは躊躇われた。

 何と言っても、かつてはダメ男にばかり引っかかってきた朝井ひばりである。
 女は恋愛への焦りを見せたが最後、そこに付け入られてしまうということを、よーく知っている。
 ここはやはり、「まだ私、余裕あるのよ」ってところを見せつけなきゃね。
 余裕はないけどな!
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