私の彼氏は真面目過ぎる!【完】
「返事遅くなってごめんね。

 実は風邪をひいていました。

 日本酒バル行こう~

 今夜はどう?」

 え、いきなり今夜ですか……?

 大きな戸惑いを覚えつつも、「これってすぐにでも会いたいってことだよね」と都合のいい解釈をして、私は即、了解のメッセージを送った。

 えー、……みなさんご存知の通り、「今から会おう」とか「今夜会おう」とかのメッセージは、「いつでも俺のためなら出てきてくれる都合のいい女」としか思われていない証拠ですよね!
 ザ・都合のいい女まっしぐらの23歳の朝井ひばりには、むろんそんな知識はないのであった。

 すぐにOKの返信をして、化粧と服選びにいそしむ、哀しいOL。
 悲しいかな、これまでそういう男性との付き合いしか知らなかったのだ、この時は。


 待ち合わせたのは、私のアパートから二駅の飲み屋街。
 よく考えたらこの時点でもまだ私は翔馬の自宅の場所を知らなかった。

 ……まあまあ怪しいですよね!

 今日こそは翔馬の仕事と、自宅を聞こう! と私は気合いを入れた。
 日本酒バルの前で待っていると、後ろから、

「お、ま、た、せ!」
翔馬が、ぎゅっとバックハグを決めた。

 ……きゅん。

 もうそれだけで(ちょろすぎる)私は十分だった。
(心臓がドキドキしすぎてやばいんですけど……)
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