それでも君を
こんなことで誤魔化せるかは微妙だけど、ふたりでいるときに診察室みたいな空気になるのは嫌で、咄嗟に嘘を吐く。



「もうすぐテストでしょ?また根詰めすぎてるんじゃないかと思っただけ。」



心配してくれてるんだよね。



「大丈夫だよ。頑張らなきゃいけないのは事実だけどね。」



「そっか。無理はしないでね。」



「うん、ありがとう。真ちゃんこそ最近忙しかったでしょ?大丈夫?」



「あー、なかなか時間作れなくてごめんね。ちょっと難しい患者さん抱えてて…。」



そうなんだ。大変そう…



「ううん、私も勉強しなきゃだし。気にしないで。」



本当は少し寂しかったりもするけれど、大好きな彼が頑張っていることに水を差すようなことは絶対したくない。

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