それでも君を
「…怖い?このまま頑張れそう?」



早く消毒してキレイに処置した方が良いことは頭で理解している。



なんとか力を振り絞り、頭を縦に動かした。



「ん、じゃあ腕だけこっちで…。ちょっと冷たいけど我慢な」



颯くんの方は見ないようにしていたのに、その言葉でチラッと腕の方を見てしまった。



照明の光を反射してキラッと光るピンセットが目に映り込む。 



その途端、呼吸も脈も速くなり、自分の力では自分自身をコントロールすることが出来なくなってしまった。



視界の端がぐにゃりと歪み、音が遠のいていく。



「はぁっ、はぁっ…」



「…梨央?…っ!おい!」



颯くんの焦った声すら水の中に沈んでいくように聞こえなくなり、私の意識は真っ暗な闇へと落ちていった。
< 594 / 746 >

この作品をシェア

pagetop