世界で一番、不器用な君へ
絶対、認めない


「ちょっと一花!起きなさい!合宿でしょ!」


「…行きたくない」


お母さんに勢いよく布団を引き剥がされるが、私は蹲ったまま動かなかった。


「バカなこと言ってないでさっさとしなさい!」


お母さんの怒鳴り声に、渋々私は起き上がる。


昨日は結局、先輩の電話には出られなかった。


色々なことが同時に起きすぎて、頭の中がぐちゃぐちゃだよ。



『一花が好きだから』


真剣、だったと思う。


声も、目つきも。普段とは、全然違くて。


だから、一層分からない。


「蓮の嘘つき」


応援するって言ったのに。


なんであんなこと言うの?


もし今日会って、昨日はどうかしてたって、蓮が笑い話にしてくれたら。


私もふざけんなって一発殴って、それでもう終わりにしよう。


お願いだから。




お願いだから、これからもずっと、友達でいてよ。

< 164 / 190 >

この作品をシェア

pagetop