狼と赤ずきんは恋に落ちてしまった

第３話ー優しくて気の利く彼ー

『ふあぁ～…んんっ…』
私は、ふかふかのシンプルな木製の大きめなベッドで目が覚める。
『あ、おはようございます。
朝食、作っておきましたよ。
食べてください』
起きてリビングへと歩いてきた私に向かって、優しい彼はそう言う。
『本当にありがとうございます！
いっただっきまーすっ！』
私は昨日、座ったソファーの上に座って、大きな声で手を合わせていただきますをする。
そして、目の前の机の上の白くてシンプルなお皿の上の暖められた食パンと目玉焼きとハムを食パンにバターを塗ってから食べる。
『美味しいです！
目玉焼きって、この、黄身の所をプチって割ると余計に美味しそうに見えるんですよねー！』
『あ、分かります！
よく、テレビとかでやってますよね』
『家でも一秒も要らない簡単な作業とも言えない物で美味しそうに見えちゃいますよねー』
何て、他愛もない話を私達は笑顔でする。
『あ、そう言えば、おばあさんの家まで送りますか？
それとも、下山しきるまで、送りますか？』
彼は本当に、とことん優しくて、物凄く気が利く。
『ありがとうございます！
おばあさんの家まで送ってもらっても良いですか？』
『はい！』
本当に優しくて、夢みたいな楽園に見える此処とも、お別れしなくてはならない。
だから…
『お礼がしたいので、又、来ても良いですか？』