クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)

「サーモンの塩辛、美味しいかったですね」

「だろ…絶対お前なら気にいると思った」

ソファで隣に座り距離も近い。こちらを見ている彼に、なんだか、見透かされてるようでこそばゆく、飲み干したタイミングで帰るつもりでいた。

「あっ、もうこんな時間…長い間お邪魔しました」

彼の部屋の時計を見て、サッと帰ろうと勢いよく立ち上がったが、梅酒でほろ酔いの私の足はふらつき、彼の胸に倒れてしまった。

「あっ、すみません」

ほんと、ドシだなあ…と彼の胸から横にずれた。

「お前、誘ってるのか?」

「な、なに言ってるんですか?そんな訳ないです。足元がおぼつかなかっただけですから」

「へー、俺の為に準備してたって言うから、それ、わざとなのかと」

彼がブラウスのボタンの最初の境目に指を入れ、引っ張るようにして見せた胸元を見た私は、ボタンのかけ間違えでチラッと見えていた胸元を慌ててカーディガンで隠した。

「見ました?」

「見えてた」

彼は覆いかぶさり距離を詰めてくるので、私は上体を後ろに反りながら、彼の胸を押して距離をとっていく。

「違います。向井さんが慌てさせるから…気がつかなかったんです」

「ふっ、どんだけドシなんだ」
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