クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)

はぁっ?
なに、その自惚れ!
あんたなんて、タイプじゃないし、誰もが心が揺らぐわけじゃないつーの!

立ち止まり見下ろす彼を睨んだが、彼には効果ないよ
うで、つかみどころのない笑みを浮かべいる。

『「あの」さ、邪魔』

真後ろで立つ男性を見て、更に私は逃げたしたくなった。

「歩道の真ん中で立ち止まってて、迷惑。さっさと歩けよ」

イケメンが不機嫌な顔で冷たく言い放つ声に、ゾッとする恐怖を感じていた。

「…お、おはよう、ございます…」

「向井、おはよう…ご機嫌斜めか?」

「はぁっ?ほら、さっさと歩け…通行の邪魔だ」

手のひらで急き立てる向井さんのそれに、慌てる素振りもなく私の耳元で『邪魔が入ったね…怖い彼氏より、俺の方がお勧めだよ』と言い放って、梶岡さんはさっさと先に行ってしまった。

はっい?

疑問と共に、その場に残された私一人が、向井さんから出る不機嫌オーラに、身が縮むような恐怖を感じて彼から目を逸らしたのだった。

「…桃尻っ子のくせに…チッ…夜、俺んとこ来い」

呟いた後に、大きく舌打ちして彼の有無を言わせない声色は、ただ恐怖でしかなく私は何も言えずに先を歩いて行く後ろ姿を眺めていた。
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