異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
巫女(わたし)の力
ガコン!ウィーン…………プシューッ。
エレベーターは扉を開いたまま動きを止めた。
眼前の景色は、午前中提督さんと来た時とは少し違った。
芝生があるのは同じだけど、その上には黒いソーラーパネルが所狭しと並んでいる。
そのソーラーパネルのせいで、視界が悪く、遠くが良く見えない。
向こうに、朝乗ったエレベーターがあるんだろうけど、目視は出来なかった。

フレディは銃を構えると、私に「まだ出るな」と合図をし、さっと甲板に躍り出た。
そして、ぐるりと周りを確認した後、手招きをする。
私はフレディの真後ろに付き、一緒にゆっくりと中央部分まで進んだ。

「あのさ、さっきの幽霊の件……」

と、囁くようにフレディが言う。
さっきはガン無視したくせに今更?と思ったけど、一応聞いておこうかな。
なんか静かだと怖いしね。

「何かわかった?」

「うん。君は海の生き物と話が出来ると言ってたよね?」

「うん、そうだけど」

「……海獣に襲われたこのタイミングで、いきなり外から聞こえる声。ひょっとして……と私が思うのはね……」

「うん……」

私はフレディの背中をじっと見つめた。
幽霊じゃないなら、それに越したことはない。
早く答えを!と言おうとして、あり得ないものが目の前を掠めるのを見た。
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