異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
イレギュラー
提督さんは、とても可愛らしい笑顔で言った。
それから、こちらの反応を伺うように、じっと瞬きもせず見つめてくる。
私が何かを言うのを待っているのだと思うんだけど……ええと、何を言えば??
まず、お礼?

『好きって言ってくれてありがとう!』

そして、

『私も好きです!』

かな?
………………ちょっと、待って。
提督さんも私も、とっても大事なことを忘れているのでは!?

「すずなお嬢様はどうします!?もし帰ってきたなら……提督さんの婚約者はすずなお嬢様で……あの……私は……」

「あはははっ!えー、まだそんなこと言ってるの??セ……サクラバさんは、ほんと、ピュアだなぁ」

何笑ってるのよ!
今は乙女が切ない感情を吐き出している最中でしょうが!!
ケラケラ笑うフレディを、私は軽く睨んだ。
おっと、とフレディは口を押さえ、それから、正座のままずりずりと私達の元へと移動してきた。
近づいてこられた提督さん、かなり嫌そうな顔をしたけど、怒りはしなかった。
それが何故かは、次にフレディが語りだしたことと関係があったから。

「前に言ったよね?あの女が帰ってくる確率は?」

「ゼロに近い……?」

「そう。世界に同じ人間は同時にいられないんだ」

ごめん、全くわからない。
そんな私を見て提督さんがフレディに言った。

「もっと分かりやすく言ってくれ。そのためにここに居てもらってるんだ」

え?そうだったの?
説明してもらう為だったんだ。
私てっきり、お仕置きだと思ってた……あ、でもそれもあるのか。

「はいはい……ええとね、私のオーマ、キキョウがこの世界に来たとき、オーマとそっくりの女が一人、ニーベルングから消えたんだよ」
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