異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
知られてはいけないこと
「お楽しみ中、ゴメンネー」

フレディが抑揚のない声で言った。
あきれているのか、バカにしているのか。
そんな感じだったけど、提督さんはそんなことまるで聞こえてないようだった。

「んんっ!ちょっと、もう!大事な話があるんだよ!!はい、注目ーー!!」

提督さんは振り返りフレディを見た。
たぶんその顔、般若だったんだろうなぁ……。
フレディは青ざめてサッと顔を背けた。
そして、一呼吸置くと渋々体を離した提督さんと私に向き合い語る。

「世界に発信するのはいいんだけど……」

良くないよ!断固反対!

「サ……クラバさん……の能力については、伏せておいた方がいい。さっきも言ったように、その力は特別だ。どこの船も海獣の驚異に悩まされているのは同じだからね」

「いらぬ争いが起こるかもしれないと?」

「そういうこと。どこかの船に狙われるかもしれないからね」

マジで!?
そんなに欲しいの?
この海洋生物限定翻訳機能が?

「それは頂けない。早く結婚してしまおう」

どうしてそうなった!?
ん?
見るとフレディも呆れて口が開いている。
わりとシリアスな話をしてるのに、提督さん顔がにやけてますよ??

「お気楽だね……もっと真剣に捉えてもらわないと困るよ。どこの船も喉から手が出るほど欲しい人材だよ!多少の無茶をしても手に入れたいと思うだろう」

「それはそうだろう、こんなに可愛いんだぞ?欲しくて当たり前だ!やらんがな!!」

あかーーーん…………。
どうした?ほんと、まじで、どうした?提督さん!!
可愛くもないし、みんな、欲しがらないから!!
………あ、ひょっとして、提督さんも知らないうちに向こうの世界の提督さんとチェンジした??
寡黙で言葉足らずの提督さんから、恥ずかしい言葉を難なく言っちゃうチャラ提督さんへと!
………そんなはずはない。
だって、豹変したのはついさっきだからね………。
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