異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
ふと黒板に目を戻すと、歴史の授業中だったらしく担任が黒板にせっせと文字を書いている。
太平洋戦争………真珠湾攻撃……。
ついこの間まで、源平合戦をやってた筈なのに、と私はノートを見直したが、何も書いていない真っ白なそれを見てそっと伏せた。

午後最後のチャイムが鳴ると、いつものように真美が帰ろうと誘ってくる。
幼稚園、小学校、中学校、高校と、それは延々と繰り返される光景であり、お約束でもある。
ただ、それも再来年には終わるのかも知れない。
高校を卒業すれば、真美も、勇樹もこの島を出て、大学へ行くのだろう。
みんながそうしたように、私を置いて。

「セリ?どした?」

真美が心配そうに声を掛けてきた。

「どうもしないよ!かえろっか?」

「うん!奏太も勇樹も帰るでしょ?」

真美と私が振り返ると、男子二人は頷いて席を立つ。

「あ、これ、ありがとな」

「うん」

奏太の返す消しゴムを受け取り、無造作に制服のポケットに突っ込む。
とっくに仕舞っていたペンケースを出すのも面倒だったからだ。
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