異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
提督さんは優しいのです
話が纏まると、フレディは簡単に診察をして「問題なし!」と笑って部屋を去って行った。
問題は山積ですけどね……。
私はベッド脇の銀のトレイを引き寄せると、少し冷めてしまったお粥を口に入れ、ふぅとひと息つく。
とにかくお腹が空いてたまらない。
こんなことなら、食べながらフレディの話を聞くんだったと、私は二倍速で口と手を動かしていた。
お粥を平らげ、パンを口に入れる。
その時、力任せに扉をノックをする音が!
驚いた私は、お約束のように喉に詰まらせた。

「くっ!………ゴホッ、ゴホッ!」

激しく咳込むと、扉は勢い良く開いた。
涙目で見ると、慌てた提督さんが急いで側までやって来る。

「大丈夫か!!風邪でもひいたのか!?」

いや……パンが詰まっただけ……とは言えない。
悶えながらトレイの水を取ろうとすると、それを察して提督さんが手渡してくれた。
その水を半分ほど一気に飲むと、つかえていたものがとれ喉に空気が通る。
ひと息ついて隣を見ると、不安そうな顔をした提督さんと目が合った。

「大丈夫、です……ご心配をおかけしまして……」

「いや、うん。大丈夫ならいい」

と、提督さんはぶっきらぼうに言った。
この人、顔は怖いけどとても優しいんだと思う。
だから、どんなビッチでも婚約者だからっていうだけで大切に出来たんだ。
それなのに、そんな人を利用して裏切るってどうなんだろう。
この手のことは経験ないからわかんないけど、私ならそんなことしないな、たぶん。
あ、そういえば!いっぱいいっぱいで忘れてたけど、私、大切なことを提督さんに言ってない!

「あの………」

「何だ?」

「助けてくれてありがとう」

命の恩人だからね。
人としてお礼はちゃんと言わないと!
私はペコリと頭を下げ、それから提督さんを見た。
すると提督さんの顔がみるみる赤くなっていくではないですか!?
何で?赤くなるようなことしてないですよー!
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