異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
仕事を探しましょう
翌日の朝、既にベッドに提督さんの姿はなく、私はのそのそと半身を起こした。
提督さんは、毎朝5時に起きて、艦内のジムでトレーニングをする。
船の中だとやっぱり体も鈍ってしまうらしくて、こうやって毎日鍛えてるんだとか……。
そういや、いい体してたよな……と思い出し、私は急いで妄想スイッチを切った。
ベッドの上で伸びをして、大きく背中を反らす。
すると、それを待っていたかのように、お腹の虫が勢いよく鳴った。
どんな状況でも、人の食欲は計り知れないものですね……。
それにしても!
ここ来てから、やたらと食が進む。
どう考えても島の食事の方が豪華で量もたくさんあったのに、ここの食事の方が『肌に合う』ならぬ『腹に合う』らしい。
どうしてか?
その理由は一つしか思い浮かばない。
それは、誰かと一緒に食べているからだ。
人と一緒に食事をするだけで、何倍も美味しく感じられる。
所詮、大きなお盆で豪華にたくさん設えても、一人で食べる食事に楽しみなんてないっていうことかな。
そう考えると、昨日『一緒に食事をとること』って提案してくれた提督さんには感謝しないとね。
私はベッドから起きて、仕度をして提督さんを待つことにした。
2時間くらいって言ってたから、7時には帰ってくる予定。
部屋になかった時計は、すぐに提督さんが手配してくれた。
部屋にいることがあまりなかったから、時計は置いてなかったんだって。
新しい時計は、レトロで重厚な置時計で、何故か午後3時にオルゴールが鳴る仕様になっていた。
おやつの時間だけは逃したくなかった職人さんが作ったのかな?
レトロ時計を見ると、現在6時45分。
私は、提督さんのクローゼットを開けて、さも当たり前のようにシャツを羽織り、昨日とは色違いの綿パンを借りて着こんだ。
備え付けの鏡を見てみると、髪が長くなければまるで少年のようなちびっこい姿がそこにある。
どうせならもう髪も切ろうかな。
巫女してる時は、絶対切るべからず!!って言われてたからしょうがなかったけど、もうどうでもいいよね?
と、鏡の前でモデルのようにポージングをとる。
その直後!……不幸なことに部屋の主が戻ってきた。
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