異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
「食べたいです!!……あ……でも……」

お金ないじゃない!!
そういや月給か日給かも聞いてないわ。
私、抜かりありすぎ………。

「お金がないんで、給料が出てからで」

と、言うと、提督さんに盛大な溜め息をつかれた。

「だから!君は払わなくていいと言っている。オレがそんなに甲斐性がない男に見えるか?」

そんなに怒鳴らなくても……。
甲斐性の問題とかでなく、うーん、この辺が世界観の違いというのか、昔の日本男子の名残というのか、頑固??
「男とは!!斯くあるべし!!」っていうのがあるんだよね。
悪くはないんだよ、むしろ筋が通ってていいんだけど、融通がきかないのも考えものだ。

「すみません。甲斐性とか良くわからないんですけど、でも、何でもかんでも払ってもらうのはやっぱりおかしいと思うんですよ?」

いや、私もアイス一つでめんどくさいこと言ってるな……。
こんなの島では奏太にいつも奢ってもらってたのに。

「おかしいって……婚約者なのにか?」

婚約者か。
そうだけど、そうじゃないし。
それは私が貰うべきものでもない気がするし。
ああもう、アイス一つで揉めたくない!
折れよう、平和的に!

「そうですね!!そうですそうです!婚約者ですもん。わーい、アイス食べたーい!奢ってくださーい!!」

「…………………」

あ、やば。
提督さんが固まってしまった。
美しい切れ長の三白眼が、大きく見開かれている。
どうしよう。どうしたら?
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