異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
「お湯がタイミングよく出てきたのも、見てたからなんですね?」

「ああ」

「で、帰ってくるのを見計らって脅かそうとベッドの中で?」

「そうだ」

………二時間サスペンスのテーマソングが後ろで流れ、私は項垂れた提督さんの肩を支え立たせた。
そして、両手を差し出した提督さんに手錠を………。
掛けないけど、その胸にポスッと正拳突きを食らわせておいた。

「もうっ!追跡、ダメ絶対!」

といい放つと、なぜだか提督さんはブルッと身を震わせ、バッと私を抱き締めたのだ!
え?風邪?寒いの?

「…………わ……いい」

頭の上の方で何か聞こえたような気がしたけど、小さすぎて良く聞こえない。
寒いのかと思って、背中をスリスリしてあげたら、今度はぎゅうぎゅう締めつけられて息が出来ない……ぐぇー

「でいどぐざん……ぐるじい……」

「おっと、悪い」

力を弱めた提督さんは、それでも腕は解かず上から私を見下ろしている。

「あのですね、心配してくれるのはありがたいんですが、怖いんで……追跡はやめてもらっていいですか?」

………悲しそうな顔をしてもダメです。

「本当に必要な時ならいいですけどね……」

これが精一杯の譲歩ですよ!
わかってますか?ストーカーさん!
今ものすごく『てへっ』という笑顔をしたけど……。
あーーこれはきっとわかってないな……。
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