With You
Story 5
―――…




彼の話を聞いてフラッシュバックする頭。



まさか―――?


一つだけ、たった一つだけ凄く薄く覚えている記憶がある。それは、誰かはわからないけれど、ここの場所で遊んだ記憶の中に男の子と一緒にいたこと。
あの小学校1年生の夏休みの…彼?



目を見開いた。





「ひろ…く…ん…?」





「おかえり。いくちゃん」



目の前の彼はにっこり笑って、私を見つめる。



夏風が10年ぶりの再会を予感するようにやさしく吹く。



――…こうしてわたしたちは10年越しの再会をした。







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