SHALIMAR -愛の殿堂-

番犬します。


「それって彼氏のフリをしろって言うんですか。それだったら俺なんかより吉住の方が適任じゃないですか?」


あのイケメン元カレに張り合うぐらいのイケメンが必要だろう。吉住だったらうまく話を合わせられるだろうし、その気になりゃ彼女をちゃんと守ってくれる。


「ヨシズミってこないだ居た子?あ~だめだめ。だって私のタイプじゃないってあいつにバレるし、そもそも嘘着く気なんてないし」


タイプじゃない??吉住が?


“あの”吉住がダメな人も居たんだ。とちょっとびっくり。


てか


「嘘着く気ないのなら俺は必要ないのでは?」




「別に彼氏のフリを頼んでるわけじゃないよ。


私がキミに気があるっぽい所見せればそれだけであいつにとってダメージでしょ」




ワイングラスに白ワインを注ぎながらシェヘラザードは悪戯っぽく笑って身を乗り出す。


え……


それって


俺はシェヘラザードの範囲内ってこと?


一気に顔の温度が上昇してそれを鎮めるため俺は慌ててビールを飲んだが、生憎だが俺の方のビールも無くなった。


「ワインでよければあるよ」


と勧められ、


「あ、じゃぁそれで」


正直、そこまで酒に強いわけじゃないが、飲んでないと正気を保てない気がした。俺は彼女の申し出をありがたく受け入れた。



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